湊かなえ著「告白」読了―本屋大賞他受賞作の傑作
【感想】★★★★★
・とてつもなく面白かった。これほど印象深い作品は珍しい。これまで見たこともないような怪物作品だ。こんな作品に出会ってみたかった。
・第一章の最終ページあたりから何ともゾクゾクしだした。読み終えた途端、背筋が凍りつき本気で身震いした。
・第一章を読み終え、ストーリーが完結しているのでてっきり短編集なのかと思い、第二章に読み進むと、案に相違して物語は続いていることを知り、愕然とした。
・全部で6つの章からなるこの作品だが、それぞれが独立した内容に仕上がり、かつ全体像を構成しているという、とんでもない技を作者は使っている。6つのオムニバスとでもいうか。6つの「告白」があり、それらを統合することでさらに味わいが濃厚に。
・なるほど、数々の受賞をするわけだ。途方もなく精巧緻密なストーリー。ラストまで息をつかせる間もなく物語は展開する。読者を「告白」の世界にものの見事に引きずり込む。
・この作者、湊かなえさんはなんという想像力と文才を持ち合わせているのだろう。素晴らしい技量の持ち主だけに今後の作品に期待したい。
【受賞歴】
・2007年、「聖職者」小説推理新人賞を受賞。小説家デビュー。
・2008年、「告白」週刊文春ミステリーベスト10で第1位。
・2008年、このミステリーがすごい!で第4位。
・2009年、本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は共に史上初。
【「告白」目次】
第一章 聖職者 (「小説推理」2007年8月号)
第二章 殉教者 (「小説推理」2007年12月号)
第三章 慈愛者 (「小説推理」2008年3月号)
第四章 求道者 (書き下ろし)
第五章 信奉者 (書き下ろし)
第六章 伝道者 (書き下ろし)
【「告白」の内容】
第一章だけで既に物語は完成している。
各章、各人の告白。
第一章 聖職者――担任・森口悠子の告白
中学校の担任が、退職時にクラス全員に語る世間が知らない真実。
亡くなった自分の娘・愛美が事故死ではなく、実はクラスの「A」と「B」により殺されたこと、このふたりを裁くことを告白。
第二章 殉教者――クラス委員長・北原美月の告白
美月が森口へ手紙を書く形で語る。
事の顛末をいっさい知らない後任の新米教師・寺田良輝(ウェルテル)の愚かな対処を知らせる。不登校「B」を訪問し、ノートとメッセージを渡す。
メッセージ「人はみな、孤独じゃない、ロクでもない世の中だけど、幸せになろうよ。信じよう、ネバーギブアップ!」。実は暗号「人殺し、死ね」(頭文字を合わせる)
第三章 慈愛者――「B」の母・下村直樹の母親の告白
Bの姉が、Bの母親の書いた日記を読む形で語る。
過保護の母親が、最後まで我が子Bを弁護する盲目愛。
第四章 求道者――「B」・下村直樹の告白
「B」こと下村直樹の経緯。本人の状況説明描写。
渡辺修哉との出会いから始まり、愛美ちゃん殺害により苦悩の日々が続く。そしてあげく母親殺し。
第五章 信奉者――「A」・渡辺修哉の告白
「A」こと渡辺修哉の経緯。母親へ宛てる手紙という形で語る。
愛美ちゃん殺害の動機について。「マザコン」と罵った美月を殺害するも後悔なし。母親へ切々と訴えるラブレター。たったひとつだけ手に入れたいもの、それは母の愛。
第六章 伝道者――担任・森口悠子の告白
担任・森口が教え子・渡辺へ携帯電話を通して語る。
反省の色が見えない「A」へ宣戦布告。爆弾発言、それは制裁の最後通告。我が子を奪われた母親の復讐完了。
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